俺様魔王の甘い口づけ
「この触手が心臓に届いたとき、この娘は死ぬであろう」
「な・・・、どうにかならんのか!」
「わしの手ではどうにも・・・。この契約を交わした魔術師ならもしかすると・・・」
「魔術師」
「しかし、そうやすやすと救ってくれるとは思えないがね。それに、その者が見つかる可能性は低い」
そうだ。
あの時、芽衣子がいなくなった時。
あの場所で芽衣子の気配は消えていた。
魔術師の気配も、芽衣子の気配も、ルイは感じることができなかったのだ。
そんな相手に、会うことは可能なのだろうか。
「だが、会わなければ芽衣子の命はないのだな」
「ええ。それは確実に」
「・・・そうか」
ルイは立ち上がる。
じっと芽衣子の姿を目に焼き付けると、意を決し動き出した。
「ルイさま!?」
「魔術師の元へ向かう」
「で、ですが・・・」
ハンスは戸惑いを見せる。