俺様魔王の甘い口づけ
「貴様は、なにが言いたい」
「そして、なぜ彼女が今苦しんでいるのか」
ルイは苛立つ。
なにをわかっているというのか。
この男は、自分の知らないことまで知っているというのか。
自分の知らない、芽衣子の思いさえも。
「貴様には、わかるというのか?なら教えろ!なぜ芽衣子が苦しんでいるのか!」
「それを、私に聞くのは筋違いというものでしょう。あなたが、彼女に寄り添い彼女の思いを自分で見つけるんです」
「芽衣子の想い・・・」
そんなもの、どうやって知れというのだ。
人の心なんて、知らない。
彼女の願いなんて・・・。
「俺は、芽衣子の事をなにも知らないのか・・・」
知ろうと、してこなかったのかもしれない。
今まで、そんな風に誰かを気にかけたことなんてなかったから。
なにを聞けばいいのかも、なにを知るべきなのかもわからない。
芽衣子が、この世界の住民ではなかったことくらいしか。