俺様魔王の甘い口づけ
「もちろん。私は嘘はつかない。契約を交わすということはそういう事」
「・・・そうか」
「どうする?契約を交わさず、闇雲にいい方法を探す?それとも、契約を交わし確実に救える方法を得る?」
二つに一つ。
例え契約を交わさなくとも、その方法を自分で見つけられればいいのだ。
「わかった。契約を、かわそう」
「そう。まさか、魔王さまが人間の女のために心臓を差し出すなんてね」
「・・・煩い。黙ってさっさとしろ」
「わかってる。それと、安心して、心臓をもらうのはあなたが死んだ後の話」
「ああ・・・」
別によかった。
自分が死んだあとの事なんて。
芽衣子のためなら・・・。
そんな風に思っている自分が、不思議だった。
こんな気持ち初めてだった。
いつの間にか、自分の中での芽衣子の存在の大きさに戸惑う。
「私の手を取って」
伸ばされた手を取れば、リリーは呪文を唱える。
胸が、次第に熱くなる。