俺様魔王の甘い口づけ



「芽衣子の心の闇は、魔術でも払うことはできない。それができるのは、本当に彼女を思う心だけ」

「その方法を、教えてはくれんのか」

「その方法は、私にもわからない。それに、そこまでたどり着けるかもわからない」




契約の暴走を止める事すらできないかもしれないとリリーは言う。




「一度、暴走を始めた契約を鎮めるっていう事は、とても大変なことなんだ。救おうとする者の身体さえ、壊してしまうことだって・・・」

「・・・」

「それでも、救う?これを、受け取るかどうかはあなた次第」

「そんなこと、決まっているだろう。俺は、そのために来たのだ」






芽衣子を救うために。
誰かのために動くという事。

それは、とても勇気がいることなのだと知った。




それを教えてくれたのは、芽衣子だったのかもしれない。




「なら、健闘を祈ってる」

「ああ。恩にきる」

「魔王さまに感謝されるなんて、信じられないな」

「そうだな。俺も信じられないな」



< 314 / 425 >

この作品をシェア

pagetop