俺様魔王の甘い口づけ
「芽衣子の心の闇は、魔術でも払うことはできない。それができるのは、本当に彼女を思う心だけ」
「その方法を、教えてはくれんのか」
「その方法は、私にもわからない。それに、そこまでたどり着けるかもわからない」
契約の暴走を止める事すらできないかもしれないとリリーは言う。
「一度、暴走を始めた契約を鎮めるっていう事は、とても大変なことなんだ。救おうとする者の身体さえ、壊してしまうことだって・・・」
「・・・」
「それでも、救う?これを、受け取るかどうかはあなた次第」
「そんなこと、決まっているだろう。俺は、そのために来たのだ」
芽衣子を救うために。
誰かのために動くという事。
それは、とても勇気がいることなのだと知った。
それを教えてくれたのは、芽衣子だったのかもしれない。
「なら、健闘を祈ってる」
「ああ。恩にきる」
「魔王さまに感謝されるなんて、信じられないな」
「そうだな。俺も信じられないな」