俺様魔王の甘い口づけ
「今の魔王さまなら、もしかしたら・・・。芽衣子を救えるのかもしれないね」
「・・・一つ聞かせてくれ。契約を取り消すことはできないのか」
「契約を?じゃあ、その魔方陣は・・・」
「俺のではない。芽衣子のものだ・・・」
自分のためにかわされた契約。
胸が痛い。
「俺は、救われなくてもいい。呪いを解く方法が本当にあるとしても。もう、いいのだ・・・」
「できないことはない」
「なら・・・」
「でも、そうなれば、それに関する記憶を消すことになる」
ルイは、ハッとした顔を向ける。
記憶を消す。
それは、どこまでのことを言うのだろう。
「それに、契約が取り消せるのは、得た情報を使うまで。だから、芽衣子の場合でいえば魔王さまの呪いを解く前ならってこと」
「なら、今なら取り消すことはできるのだな」
「うん。でも、魔王さまの事は忘れることになる」
「・・・俺の事を?」
「契約に関する記憶だから。芽衣子の契約は魔王さまの呪いを解く方法。その方法を忘れるだけではだめなんだ。契約は神聖なものだから。何度も交わすことはできない。だからこそ、もう同じことで契約を交わすことのないように、それにまつわることは消さないといけない」
自分の存在が、芽衣子の中から消える。