俺様魔王の甘い口づけ
今までの、出来事がすべて消える。
「それに、今の契約が遂行されようとしている状態では、取り消すことはできない。取り消すなら、芽衣子を救った後だね」
「そうか・・・。わかった」
「もし、その覚悟ができたなら芽衣子をここに連れてきて」
覚悟。
そんなもの、できるのだろうか。
芽衣子を救いたい。
契約なんて交わす必要なんてないと。
俺は、このままでもいいのだと。
でも、その時にはもう芽衣子は側にいないかもしれない。
自分の記憶を消された芽衣子は、もう自分の側にいてくれないかもしれない。
初めの頃の、自分を怖ろしいものを見るような目で見ていた頃の芽衣子に戻ってしまうのかもしれない。
それは、怖いと思った。
耐えられる気がしなかった。