俺様魔王の甘い口づけ
「前代未聞でございます」
「今度はなに?」
「ルイさまは誰にも執着しないお方なのです」
「執着?別に私に執着してないでしょ」
ただ、吸い殺されるのが伸びただけだし。
「人間のようなか弱き存在、ルイさまがこの城に留めておくなど…。信じがたいことです」
「…そうなの?」
「はい。ルイさまは、人間などに何の感情も抱いてはおりませんから。そうですね、本当に食料くらいにしか」
「つくづく最低だわ…」
牛や、豚の気持ちが今なら少しわかるかも…。
ちゃんと元の世界に戻れたら、ありがたくいただくからね。
そうしみじみ感じた。
「それにあれこれ指図されるのがお嫌いですから、しゃべる煩い人間など、すぐに殺してしまうはずです」
「もういい…。なんかどんどん最低ランクが上がっていくだけだから」
「そうですか…。ともあれ、命拾いされたのですね」
そうみたいね、と返しながら私の心の中はドンヨリとしていた。
胸糞悪い話、聞きたくなかった。
「そうだ、ハンスはさっきまで私が冷酷魔王のところにいたこと知らなかったんだよね?」
「ええ。先ほどルイさまにお逢いするまでは…。というより、芽衣子さま、冷酷魔王などという呼び方はおやめください」
「はいはい。魔王さま、ね」
軽くそう答えながら、考える。
じゃあ、私をベッドに移動させたのは、誰なんだろう……。