俺様魔王の甘い口づけ
「なぜ、泣くのだ」
なぜ。
なぜだろう。
こんなにも近くにルイを感じているのに。
なぜ、溢れるのだろう。
思い出した。
ルイに冷たくされてたこと。
そして、ルイの婚約者というあの子の事。
でも、目の前にいるルイは、冷たかったルイではなくて。
まるでそれが夢だったかのように。
「ルイ・・・、今、私の目の前にいるのが本当のルイなんだよね?」
「なにを言ってるんだ・・・当たり前だろう」
「だって・・・、私の事・・・いないみたいにっ」
声は上ずり、ポロポロと零れる涙。
その涙を、ルイはぬぐってくれる。
その手さえも、愛しくて。