俺様魔王の甘い口づけ
「芽衣子さまッ!」
私が部屋を出ると、心配そうに眉を下げたハンスの姿。
安堵の表情を浮かべ涙ぐんでいる。
「ハンス・・・、ごめんね、心配かけて」
「いいえ!ご無事で本当によかったです!」
「ありがとう」
私の事を、こんなにも心配してくれている。
私は嬉しくてにやける。
ここにも、こんなにも私を心配してくれて大切に想ってくれる人がいる。
一人ぼっちだったけれど。
今はもう、孤独じゃない。
「ルーイ!」
そこに現れたのは、ルイの婚約者であるアンリ。
私の事になんか目もくれず、まっすぐにルイのもとに走ると腕に手を回し抱きついた。
「アンリ・・・」
「ずっとここに籠りっぱなしで、アンリ寂しかったんだからね!なんでこんな人間のために?ルイ、人間なんて大嫌いだったじゃない」
アンリの鋭い視線が私を刺す。