俺様魔王の甘い口づけ
ルイに向けているその声はとても甘くて優しい声なのに、私に向ける視線は鋭く怖い。
怖ろしいと感じた。
「アンリ、・・・悪いが」
「え?」
ルイが、アンリを身体から離し、向き合う。
「お前との結婚、少し考え直したい」
思いつめた顔で言ったのは、そんな言葉だった。
「なんで!?」
もちろん、アンリがそれを許すわけがなかった。
声を荒げ、ルイに詰め寄る。
当然だ。
婚約者に、突然結婚を考え直したいなんて言われたら。
それがもし、周りが決めた婚約であっても。
アンリは、きっとルイの事が好きだ。
そんなこと、傍から見てもよくわかるから。
納得なんてできるわけがない。