俺様魔王の甘い口づけ
ルイの血を飲むことが怖いんじゃない。
悪魔の血が自分の中に流れることが恐ろしいんじゃない。
自分が自分じゃなくなるんじゃないかって、そのことが一番怖かったんだ。
「そっか。私は私か」
「ええ。芽衣子さまは、芽衣子さまです。その心まで変える力などありませんよ」
心の荷が、少し軽くなったような。
「芽衣子さまには、感謝しなくては」
「え?なにが?」
「ルイさまを、ここまで変えてくださったのですから」
「変えたって、私はなにも・・・」
ルイ自身が、変わろうとしたってことだ。
いくら、私が変えようとしたって、ルイがその気にならなかったら意味がない。
「ですが、そのきっかけを作ってくださったのは、やはり芽衣子さまですから」
「ルイは・・・自分を理解してくれる人が欲しかったんじゃないかな。もちろん、ハンスだってルイの事思ってくれてることわかってたと思うけど」
「ええ」
「ハンスみたいに、当たり前に側にいてくれている人じゃない、他の人に認めてもらいたかったのかなって・・・」