俺様魔王の甘い口づけ
その時、緊迫した様子で飛び込んできたのはハンスだ。
私を起こした後、部屋を出ていたハンスが、息を切らせ、私の部屋の扉を勢いよく開いた。
「なんだ、騒々しい」
「人間界の、国王軍が!この城に向かってきています!」
人間界の?
どうして?
「アンリさまが!アンリさまが、率いているようで!」
「えっ!?」
「なに、アンリが・・・?」
どうしてアンリが、人間たちを率いて?
そうだ、私アンリの事なんてすっかり忘れて・・・。
ルイに婚約を破棄されたこと、怒っていた。
だからって、どうして人間たちと・・・。
「それも、今までにない軍勢の数!アンリさまもいますし、我々だけで太刀打ちできるかどうか・・・」
「落ち着け。慌てたところで何も変わらん」
「ですが!」
この城に、他にはリオンくらいしかいない。
国王軍に対抗する勢力の差は、明らかだ。
いくらルイが悪魔の王さまであったとしても。