俺様魔王の甘い口づけ



その時、緊迫した様子で飛び込んできたのはハンスだ。
私を起こした後、部屋を出ていたハンスが、息を切らせ、私の部屋の扉を勢いよく開いた。




「なんだ、騒々しい」

「人間界の、国王軍が!この城に向かってきています!」




人間界の?
どうして?



「アンリさまが!アンリさまが、率いているようで!」

「えっ!?」

「なに、アンリが・・・?」




どうしてアンリが、人間たちを率いて?
そうだ、私アンリの事なんてすっかり忘れて・・・。


ルイに婚約を破棄されたこと、怒っていた。
だからって、どうして人間たちと・・・。



「それも、今までにない軍勢の数!アンリさまもいますし、我々だけで太刀打ちできるかどうか・・・」

「落ち着け。慌てたところで何も変わらん」

「ですが!」





この城に、他にはリオンくらいしかいない。
国王軍に対抗する勢力の差は、明らかだ。

いくらルイが悪魔の王さまであったとしても。





< 347 / 425 >

この作品をシェア

pagetop