俺様魔王の甘い口づけ



それにひとりよりは、心細くなくていいし。


「わかった。じゃあ、お願い」

「では、仕事が落ち着き次第こちらに向かわせます」

「はぁい」




それまでは、部屋でおとなしくしておこう。
よし。
帰るんだ。


食事が終わり、部屋に一人になった私。
魔物の血で汚れた服は綺麗に洗濯をされ返ってきた。
そういう気配りは、本当に最高だと思う。

その制服に身を包み、いつでも帰る準備はできた。




そうしていると、トントンとノックがする。




「はい、どうぞ」



返事をするとギィッと音を立て扉が開く。




「…失礼します」




そうやって入ってきたのは、目を隠すくらいの前髪で、執事の格好をしているけど、堂々とピシッとしているハンスとは正反対の、とても怯えたように縮こまっている男の子。
きっと歳は私と同じくらい?




「は、はじめまして…。リオンです…」

「初めまして。芽衣子です」




軽い自己紹介。
しゃべり方も、おどおどとしている。
大丈夫なの、この彼。



< 35 / 425 >

この作品をシェア

pagetop