俺様魔王の甘い口づけ
ダメだよ!
逃げるなら、一緒に!
「一緒に、逃げよう!だったら、ルイも一緒に!」
「・・・ダメだ」
「なんで!」
「向こうにはアンリがいるのだ。逃げたところで無駄だ」
無駄かどうかなんて、やってみないとわからないのに。
私だけ逃げるなんて、できないよ!
でも、もうルイは私の事なんて見ていなくて。
今にも飛び出していってしまいそう。
「ハンス」
「はい」
再度促すようにハンスの名を呼べば、ハンスは答えて私を連れ出そうとする。
私は、必死で抗うけど、ハンスは力いっぱい私を引きずるようにして歩き出す。
「やだ!やめて、ハンス!私はここにいたいの!」
私の声なんて、届いてなくて。
ズルズルと引きずられるようにして部屋から出される。
そのまま、城の外まで連れ出された。
こんなのやだ。
こんなの、やだよ!