俺様魔王の甘い口づけ
前のルイの方が素敵だった?
そんなの、そんなの、絶対ない!
「そんなの、本当のルイを見ていなかっただけじゃない!」
ルイは苦しんでた。
魔王の子として生まれてきたこと。
魔王の定め。
そして、呪いに。
必死で、父親のようにならなきゃって心を消して。
吸血衝動に苦しめられ。
人間に恐れられ、孤独を感じて。
冷酷に生きるしかなかった。
そうやって、心を消していないと、孤独に押しつぶされそうになるから。
一人ぼっちっていう現実に気づいてしまうから。
「煩い!それでも!前のルイなら、婚約を考え直したいなんて言うわけない!あんたが現れたから!あんたがいるからだ!」
「だからって、そんなことで!」
「煩い!あたしに指図するな!」
アンリが手を振り上げる。