俺様魔王の甘い口づけ



「なんでっ!なんで!ルイは魔王でしょう!?こんなことで・・・」

「力を使いすぎたんだ・・・」

「キイ・・・?」



苦しそうにキイが言う。
唇を噛みしめ、その苦しみから逃れようとしている。


それは、キイもこれが現実なのだと言っているようで・・・。




「そのケガを蘇生するだけの力・・・ルイにはもう・・・残ってない・・・」

「そんな!」

「いくら治癒能力があっても・・・。それは万全じゃない」




じゃあ、ルイは死んじゃうの?
そんなの、そんなの嫌よ!



ルイが、苦しそうに顔を歪ませながら身体を動かし私に手を伸ばす。




「泣くな・・・最後は・・・お前の笑顔を・・・見ていたい・・・」

「ルイ・・・っ、ルイ!」




最期なんて、いわないで。
ずっと一緒にいるんだから。



「よか・・・た・・・傷は、治っているな・・・」

「え?」




ルイが触れた首筋。
アンリに傷つけられた傷は、とっくに治っていた。




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