俺様魔王の甘い口づけ
「なんだと?」
「悪魔の力を借りてこの城を落としたって、なんの意味があるの?自分たちは、悪魔の力を借りないと何もできない臆病者ですって言ってるようなものじゃない!」
こんな風でしか立ち上がれない。
そんな人たちに誰が屈するというのか。
「あなたたちは、卑怯よ!こんな風に軍勢を率いてじゃないと立ち向かえない!ばかげてる!こんなこと!」
「なんだと!?」
「そんなに、魔王の血が欲しいの?そんなにも・・・!こんな卑怯な手を使ってでも!」
こんなの、違う。
そんな風に、魔王が悪者だって決めつけて。
退治されても仕方ないのだと言い聞かせて。
それが、人間のためだとかきれいごと並べて。
「人間の方がずっと汚い!ずっと、卑怯だ!」
こんな、正当化された争いに。
なにが残るというのか。
「魔王の味方をするというのか?」
リュークが鋭い声で言う。