俺様魔王の甘い口づけ
しばらくして、戻ってきたルイの手にはお盆とその上に並べられた皿。
おいしそうなにおいが立ち込めている。
「腹が減っているのではないかと思って」
「あ、ありがとう・・・」
そういえば、飛び出したのは昼食前だった。
すっかりお腹がすいてしまっていた。
優しいルイに、戸惑いながら私はそれを受け取った。
「・・・おいしい」
「そうか」
「リオンが作っているの?」
「リオン?誰だ、それは」
尋ねた名前をルイは初めて聞くかのような顔。
そうか、リオンはまだここにはいないんだ。
そうだよね。
もしかしたらまだリオンは働ける歳ではないのかも。
時間の流れが違う人間と悪魔。
99歳と言っていた。
私が知っているルイは105年くらい生きていたのだから、軽く6年以上前なのかな。
ルイにとっては短いかもしれないけど、私にとってはとても長い時間だ。