俺様魔王の甘い口づけ
「これは、ハンスという魔王付きの側近が作っている」
「ハンス・・・」
ハンス、よく知る名前にホッとする。
ハンスはいるんだ。
そうだよね、ハンスも悪魔なんだもん。
「お前、名を何という?」
「私?えと・・・め・・・恵っ」
思わず本名を名乗ってしまいそうになったのを慌ててごまかした。
「恵・・・か。よい名だな」
ほんわりと優しく笑うルイの表情は、初めて見る表情だ。
最近では笑うようになったルイも、こんな風には笑わない。
この笑顔を、まもりたい・・・。
どうしたら守れるの?
どうしたら・・・。
「ねぇルイ。このお城の裏に木ってある?」
「木?あるが、どうしたのだ」
「そこに連れて行ってほしいの」
ルイと仲良くなりたい。
きっと、このルイとなら仲良くなれる。
まだ、きっと心は冷え切っていないこのルイとなら。
そして、説得するんだ。
魔王になる儀式。
そんなもの、やめてしまってと。