俺様魔王の甘い口づけ
「そんな事より、私お風呂入りたいんだけど」
「かしこまりました。ただいま準備をしてまいりますので、お部屋でお待ちください」
この気持ち悪い返り血を早く洗い流したい。
制服もまた汚れてしまった。
私は部屋に戻ると、何もする気になれずその姿のまま椅子に腰かけボーっとしていた。
心がパンクしてしまいそう。
いろんなモヤモヤした思いが渦巻いて。
自分が醜く思える。
人に対してこんなに嫌悪感を抱いたのも初めて。
ああやって殺してしまうのなら、助けてくれなくてよかった。
助けてもらっておいて、その言いぐさはないと言われるかもしれないけど。
簡単に、魔物だといえども殺してしまう事に私の頭は納得ができない。
だって、襲ってきたのが仮に人間だったとしても、きっと彼は殺すんだろうから。
「気持ち悪い…」
渦巻く心が荒れていて、すぐにでも逃げ出したい気持ち。
「芽衣子さま、用意が整いました」
「…はい」
扉の向こうからハンスの声が聞こえる。
クローゼットの中の着替えを用意し、部屋を出る。