俺様魔王の甘い口づけ
だとしたら、どうしたらいいんだろう。
言ってきくような人ではないだろうし。
言ってきくならもっと早くにハンスがそうしているだろう。
私の常識が通用しない相手に、どうしたらいいんだろう。
やっぱり、なるべく顔を合せないようにしないと。
そんな結論にしかたどり着かず、私はお風呂から出た。
ホカホカとして温まったからだから湯気を出しながら出る。
「芽衣子さま…」
そこで、不意に呼び止められた。
リオンだ。
彼の事、すっかり忘れていた。
無事戻ってこれたんだ。
「申し訳…ありません…」
「…なにが」
「僕…芽衣子さまを差し置いて…逃げて…」
「ああ…そのこと…。別に、いいわよ」
気弱そうなリオンが、果敢に守ってくれるとも思えないし。
それで逆にリオンが怪我してもなんかスッキリしないし。
「…魔王さまに怒られました…」
「…は?」
魔王に怒られる?
あいつ、怒るの?
怒る前に気に入らないと殺してしまいそうだけど。