俺様魔王の甘い口づけ
願い
勇者と魔王
この世界にやってきて三日目の朝。
まったくスッキリしない朝がやってくる。
目を開けてもやっぱり夢じゃないことに、内心がっかりしながら起き上る。
クローゼットからシンプルなワンピースを選び袖を通す。
「はぁ」
朝からため息。
着替え終わったところで、することなんてないんだ。
なにをしよう。
「…そうだ」
私は部屋を出て人を探す。
といっても、ここにはルイとハンスとリオンしかいない。
だから、探すのはハンスかリオン。
リオンはキッチンにいるような気がしていってみると、確かにいた。
「芽衣子さま…どうかされましたか?」
「ああ、…貸してほしいものがあるの」
昨日の今日で少し気まずいけれど、そう声をかけるとリオンは少しぎこちなく微笑んで頼んだものを持ってきてくれた。
私が頼んだものは、雑巾。
ここに来てからずっと気になっていた蜘蛛の巣や埃。
ハンスは、手がないから仕方ないのだと言っていた。
二人で切り盛りするには確かに広すぎるお城。
別に、恩返しというわけでは決してないけど、暇つぶしくらいにはなるかと思って。
まぁ、確かにご飯と寝床を用意してもらっている恩はあるから。
仕方ないから、少しの恩返しの意味も込めて。