俺様魔王の甘い口づけ
私は、袖をまくり気合を入れると上の方の蜘蛛の巣と埃の掃除から始めた。
上の方から掃除をする、それが基本。
リオンに一緒に借りていた脚立を使い上の方の蜘蛛の巣と埃と格闘する。
長年の汚れは、結構手強くかなり力がいりそうだ。
でも、掃除をしている間は余計なことを考えずにすんで気が紛れた。
だから結果的にはよかったんだと思う。
広すぎるお城は一日ではまず掃除はできないだろう。
だから、今日はとりあえず自分の部屋のある階から手掛けることにした。
自分が生活する周りは綺麗な方が絶対にいいから。
何度も水道と行ったり来たりして雑巾を洗いながら綺麗にしていく。
ランプにもすっかり汚れが付着していてふき取れば本来の明るさが露わになった。
ランプをつけても薄暗かった城の中が、少しだけ明るくなっていく。
それに満足感を持ちながら、掃除を進めていっていた。
「よし、これでおしま…わっ!」
最後のランプを拭き終わり、降りようとした私は足を踏み外しぐらっと大きく後ろにバラスを崩す。
そのまま地面にまっさかさま、と思って目を閉じたけど、痛みは全く走らない。
その代わりに感じたのは、誰かの温もりに包まれた感覚。
「え…?」
慌てて目を開けると、私を抱きとめた人物に目を丸くする。
「あ、あんた!」
私を受け止めたのは、まさかのルイだった。