俺様魔王の甘い口づけ


どっちにしても、本当に性格が悪い。



「煩いな!どこに行ったって、元の世界に戻れない限り私は一人なんだから!」





そんな事言わせないでよ。
考えたくなくてこんなことをしているのに。




「人間は、すぐに泣く。だから嫌いだ」

「…うるさい。なら見ないで!」




いつの間にか泣いていたらしい私を見て、ルイが言った。
その声には少しだけ動揺の色が見える。

なに私、戸惑ってるの。
ルイが人間が嫌いだと言ったって、動揺しているからって。
私には何も関係ないのよ。




「可愛げのない女だ」

「だから、別にかわいいとか思ってもらわなくていいから」

「…それをさっさと片付けて広間に来い」

「は?」

「昼飯にする」





は?
昼飯にするって、私はずっと部屋で食べてたんだけど。
なんで、いきなり広間?

それって、ルイと一緒に食べるっていう事でしょう?
やめてよ。
ルイと顔を合わせて食事なんて、絶対にしないから!



「い、行かないわよ!」





そうよ、行くわけない。





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