俺様魔王の甘い口づけ
「何のつもりだ」
「…別に。同じ空間で食べてるのに、一人で食べてるみたいでいやだったから。ただそれだけ」
非常食がこんな近くに来るな、とでも文句を言うに決まってる。
でも、何と言われたって私はここを動くつもりはない。
「…そうか」
でも、意外にもルイはただそう言うとなにも言わず食事を再開させたのだ。
なんでなにも言わないの?
俺様に指図するなって怒らないの?
勝手なことをするなって、言わないの?
…調子狂う。
「…食事は、一人よりも二人の方が楽しいのよ」
「楽しい?…そうか」
「あんたは、寂しいとか思わないわけ?一人で食べてて」
「さあな。寂しいなど、感じたこともない」
サラリとそう言い放つルイ。
寂しいと感じたことがないなんて、なんて寂しい人生だ。
それって、寂しいっていう感情を知らないってこと?
だって、ルイの側にはハンスとそれからリオンしかいない。
ずっと一人だったのかな?
だから、寂しいって気持ちわからないの?