俺様魔王の甘い口づけ
1階のフロアにつくと、そこには本当に勇者のような騎士の格好をした男の人の姿。
食事を続けていてもいいと言われたけど、やっぱり気になってきちゃった。
その男の人の片手には、仰々しい剣が握られていた。
金髪のふんわりとした髪に、正義感溢れるギラギラした大きな瞳。
すらっと細いルイより少しだけ肉付きはよく、でも、無駄な贅肉のない引き締まった体。
「でたな!魔王!ここで会ったがなんとやらだ!」
…百年目、でしょう?
というか、現実でそんな事言う人いたんだ。
「貴様はいつになったら自分の程度に気づくのだ」
「なんだと!」
「毎回毎回、俺様に蹴散らされて帰るだけではないか」
そうなんだ。
でも、あの人は殺さないんだ。
確かに、ルイは強そうだし負ける姿なんて全く想像できないけど。
冷酷で残忍なルイだけど、あの勇者は生かしている。
だって、今までも何度も挑んできているみたいなのに、ちゃんと生きてるんだもの。
「煩い!今回は違う!絶対に魔王、貴様を倒し貴様の血を貰い受ける!」
ビシッと剣先をルイに見せながら叫ぶ。
ルイの血?
そんなもの奪ってどうする気なの?
魔王を倒した証とするのか…。
「貴様にやるものなどなにもない」
「そんなことを言っていられるのも、今のうちだ!」