俺様魔王の甘い口づけ
勇者が剣を両手で握り、とうとう戦いの火ぶたが切って落とされた。
剣を大きく振りかぶりルイに斬りかかる。
しかし、ルイは剣が触れるギリギリでよける。
ルイは、どこか楽しそうに見えた。
その姿に、それはただ遊んでいるだけなのだと気付く。
ギリギリで交わすのも、きっとわざとだ。
ルイにとっては、暇つぶし程度の事。
ああ、だからか。
だから、殺すこともないのか。
殺してしまえば、この暇つぶしも終わってしまうから。
「反撃してこないのか!?」
「俺様の反撃を受けて生きていられると思ってるのか」
「情けは無用だ!!俺は、本気でお前を倒すつもりなんだからな!」
「本気?これが貴様の本気なのか。情けなくて涙も出んわ」
軽やかに勇者の攻撃をかわすだけのルイ。
勇者の息が上がっていく。
ルイだけが涼しい顔をしていた。
そろそろ飽きて来たのか、勇者の攻撃をかわした瞬間に足で勇者の腹部を蹴り上げる。
軽く蹴りを入れた程度に見えたのに、勇者の身体は思い切り後ろに吹き飛ばされる。
す、すごい…。
でも、あの勇者大丈夫なの?
かなり吹き飛ばされたけど…。
私は少し心配になり近づいていく。