俺様魔王の甘い口づけ


私が見たのは、勇者ではなく私に背を向けたルイの背中。




「え…?」




その状況が理解できないのは私だ。
どうして、ルイが私と勇者の間に入っているの?
もしかして、というかもしかしなくても、かばってくれた?

ウソ、まさか。
この冷酷なルイがそんなことするはずないじゃない。



「な…、初めて…」




勇者自身もその状況に動揺している様子だった。
ルイは後ろから見ても感じる負のオーラを出しながら、怒りに震えていた。




「貴様、ここまで落ちぶれていたとはな」

「な、」

「俺様にかなわんと思ったら、勝てそうなこの女に標的を変えるとは、勇者の名が泣いておるぞ」




なんか、嫌だけどルイの言葉に納得してしまう。
ルイに勝てないと気付いてせめて私だけでもって、ひどすぎる。




「それに、この女は悪魔ではない。同じ人間が貴様は区別がつかんようだな」

「に、人間!?」

「仕方ない、本気で貴様の相手をしてやろう」




黒いオーラがメラメラとたちこめる。
本気で、キレてる?
ちょっと、それってやばいんじゃない?




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