俺様魔王の甘い口づけ
「ちょ…あんた…」
ルイが本気出したら、勇者なんて一瞬で殺されてしまう。
だって、全く本気を出してないルイにさえまったく敵わない様子だったのに。
黒い靄が現れ、ルイの手に剣が現れる。
「一瞬先の未来には、貴様はいないと思え」
本気で切れているルイに、私の背筋は凍る。
今までにないくらいに恐ろしいオーラを放っている。
怖すぎる。
でも、止めなきゃ。
確かに卑怯だったけど、だからって殺されていいことにはならない。
「やめて!もう、終わりにして!」
「黙れ。俺様の腹の虫がおさまらん」
「ダメだよ!殺したら、ダメ!」
「俺様に指図するなと行っておろうが!」
ぴしゃりと空気が張り詰める。
どんなに怒鳴られても、諦めない。
もう、誰も目の前で殺されてほしくない。
「ダメだってば!」
ルイに体当たりをする勢いでぶつかり抱きついた。
どんなことをしても、止めてやる。
勇者を逃がしてしまえばこちらの物だ。