俺様魔王の甘い口づけ

それぞれの想い




「なぜ、こんなことをする?」




突然、神妙な顔をして言い出すルイに、私は顔を上げる。
合わさる視線に、少しドギマギしてしまう。



「こんな事って?」

「手当など、俺様はいいと言っておるのに」

「なに言ってるの。バイキン入ったらどうするの?痛いくせにやせ我慢してるんじゃないわよ」



血が止まらない。
なにかで押さえて血を止めないと…。



「芽衣子さま」

「あ、ハンス。ありがとう」

「いえ…」



一通りの救急セットを持ってきてくれたハンス。
とりあえず濡れタオルを受け取り傷口にそっと当てる。
そして、止血をするためグッと力を入れて押さえた。
少し顔をしかめるルイ。



「少し我慢してよね」

「…お前は、俺様がいなくなった方がいいのだろう」

「は?」




いなくなった方がいい?
私は本気で意味が分からずルイを怪訝そうに見返す。




< 63 / 425 >

この作品をシェア

pagetop