俺様魔王の甘い口づけ
そして、次にやってきたのは城の最上階。
そこは、大きく開かれた窓の向こうにベランダのような場所があり城の外を見渡せるようになっている。
外に出て見渡してみる。
でも、そこは相変わらず薄暗い空で、あまり景色がいいとは言えない場所だった。
少しがっかりした気分になりながらも見渡す。
「ねえ、あっちの方が人間界なの?」
私ははるか遠くを指して言う。
少し先にあの森を見つけたんだ。
「ああ」
案の定ルイはそれを肯定する。
人間界、どんなところなんだろう。
きっと私が住んでいる世界とは違うんだろう。
でも、私と同じ人間が住んでいる世界。
「気になるのか」
「そりゃあ…。私だって、人間だもの」
もし、人間界の方に行っていたら私はどうなっていたんだろう。
魔王の非常食になる恐怖からは逃れられていただろう。
でも、だからって順風満帆にいっていたかというとそうじゃないかもしれない。
人間界では人間界の難しさがあるだろう。
魔王の血を求め、ぎすぎすした世界。
誰が正しくて、誰が間違っているのか、わからない世界だ。