俺様魔王の甘い口づけ
「ふぅん…。読み方は同じなのだな」
「そりゃあ、言葉と文字が違う読み方だったら困るでしょう」
ルイは、そう言うと私が書きならべた文字を眺める。
なにを考えているのか…。
「…なにが、ありがとうなのだ」
「へ?」
「貴様が寄越した紙の事だ」
「え、もう読めたの?」
というか、あの文字覚えてたの?
見比べてもいないのに。
面と向かってそう言われると、少し気恥ずかしいのに。
手紙にした意味がないじゃないの!
「…私が泣いてた時、ハンスを呼んでくれたでしょう?だから!」
「……何のことだ」
「もう、しらばっくれなくてもいいわよ。ハンスに聞いたんだから。ルイに言われてあの場所に来たって」
「…うるさいから黙らせたかっただけだ」
いちいち素直じゃないんだから。
私は呆れたように息を吐く。
「ねえ、あともう一つ。ルイに血を吸われて、ルイの部屋で倒れた時あったでしょ?」
「それがどうした」
「あの時、ベッドに運んだのは、ルイ?」
ずっと気になってた。
ハンスは違うみたいだったし。
思いつくのは、ルイくらいだ。