俺様魔王の甘い口づけ
紙に書き連ねていく文字。
書いても書いても、頭によぎるのは今この瞬間にルイがしているであろうこと。
目の前でなくても、よぎってしまうあの光景。
一度見てしまったら忘れられない残酷な…。
「…っ」
ルイの事、嫌いになんてなりたくないのに。
いいところ、見つけたいって思うのに。
現実はそうはさせてくれないみたいで、辛い。
胸が締め付けられる。
なんでこんなに苦しいんだろう。
私には関係のない世界の事なのに。
割り切れない自分がいるんだ。
ルイが、少しだけ心を開いてくれたような気がしたのに。
結局何も進んではいなかったんだと気付かされる。
願いは、儚く散っていくのだと…。
どうしてこんなにも、涙が出てくるんだろう……。