隣の席のキミ。




はっ、と自分で自分を笑いながら丸をつけていると、一足先に柿崎くんが答案用紙を出してくる。




「あ、ちょっと待ってね」




最後に点数を出して、少し迷ったけど空いたところに『ありがとう』とイラスト付きで書いて。




「はい」




消しゴムと一緒に差し出すと柿崎くんは無言で受け取った。



しかもやっぱり目、合わせてくれないなぁ……



やっぱり何か気にさわるようなことしちゃったのかな、と思っていると、隣から笑うような声が聞こえた。



本当に微かに聞こえただけだけど。



まさか、と思って見ると、柿崎くんが笑っていて。



え、どこに面白い要素がっ?



思わずまじまじと見ていると、柿崎くんがこちらを向いた。




は、初めてまともに目を合わせてくれたかも。



顔を真正面から見たのも初めてだよ。



やっぱ整った顔してるなぁ……




「これ、何?」




あ、話しかけてくれた。



ちょっと感動ものなんですけど。








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