めぐりあい(仮)





蓮哉と最後に会ってから、


2週間近く経った。


最後に会ってから、


1度も見ていない。


いつも考えることは、


蓮哉のことばかりで。


元気かな、とか。


何してるのかな、とか。


いつも、どこでも、


蓮哉のことを想ってて。





「吉川、帰ろうぜ」




「何で朝陽と帰らないといけないの」





朝陽は毎日のように、


帰りになるとあたしの所に


来て、鞄を持ってくれる。


学校内では、持ち切りの話題。


朝陽とあたしが、


付き合い始めた。


あたしなんかと付き合った朝陽は、


きっと騙されている。


何であんな普通の子と


付き合ってるんだろう。


そんな話は、


すぐ聞こえて来た。






「あー、お腹空いた」




「お前、さっきもお菓子食ってただろ」




「赤ちゃんが欲しいって言ってるんだもん」





仕方ないな、と、


朝陽は自分の鞄から


美味しそうなパンを取り出し、


ちぎってあたしにくれる。






「お昼の残りだけど」




「ありがと」





2人並んで校舎を歩く。


もう女子の目には慣れた。


だけど、女子ってズルいから。





「ちょっとトイレしてくる」




そこで待ってて。


そう言って、あたしに自分の


マフラーを巻いて離れていく。


あたしもマフラーしてるから、


首元ぐるぐる巻きなんだけど。





「あ、ごめんなさーい」





そこに突然人が現れて。


何かで強く腕を叩かれる。


同時に、細かい粉が舞って。






「ごめんね、吉川さん。当たっちゃった」





当たっちゃった、なんて


強さの力じゃなかったし。


見ると、腕には黒板消しの


粉が付いている。






「何すんっ…」





「あんたが悪いんだからね」





女子たちはそう言って、


あたしを睨む。


結構こういう目に合っている。


それもこれも、全部朝陽のことを


好きな女子たち。





「朝陽のこと好きなら、告白すればいいでしょ?」





「は?まじで、うざいんだけど」





そう言ってもう1度、


同じ所を叩かれる。


おかげで、跡が強くなった。





「目障りなんだよ」





消えろ、って。


そう言うと、女子たちは


笑いながらどこかへ去って行く。


あたしは朝陽が帰って来る前に、と


手洗い場に急いで向かった。






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