めぐりあい(仮)
「短大に行こうかなって思ってる」
「短大?」
何に興味があるか。
考え抜いた結果。
人の幸せを見るのが好きだと思った。
「近くにある学校なんだけどね」
それを担任に言ったら、
これなんてどうだ、と勧められたもの。
人を幸せに出来る、
あたしの夢になった。
「ブライダル関係のお仕事、したいなって」
「ブライダル?」
こんなこと、
蓮哉に言ったら、
笑われるかなって思った。
お前がブライダル?
なんて言いそうだし。
あたしは何も言わなくなった
蓮哉をひっそり横目で見ると。
「いーんじゃね、そういうのも」
意外と普通に認めてくれた。
笑いもせず、ばかにもせず、
ただ普通に納得してくれた。
「変じゃ、ないかな?」
「別に。お前、そういうの好きそうだしな」
思っていた反応と違い過ぎて、
嬉しさが倍増した。
もっと頑張りたい。
そう思えるようになった。
「卒業したら」
「うん」
「俺の所、来る?」
「…え、」
車の中に鳴り響いていた、
大好きな曲は、
一瞬にして聞こえなくなった。
だって、蓮哉が。
俺の所、来る?って。
「もらってやってもいいけど?」
あたしは驚き過ぎて、
間抜けな顔をして、
窓の向こうのそのまた向こうを
ずっと眺め続けた。
「考えといて」
「う、うん」
急に恥ずかしくなって、
隣を見れなくなる。
そんなつもりはないかもだけど。
聞こえ方によっては、
プロポーズみたいだし。
「夕飯、どうする?」
「あー、そうだね」
「作る?久々どっか行くか?」
「う、うん。どっちでも」
上の空な返事。
そんなあたしを見て、
隣にいた蓮哉は
可笑しそうに笑う。
「な、何よ…」
「どうせ色んなこと考えてんだろうなって」
「か…考えてないよ」
「どうだか」
なぜだかいつも、
あたしの考えは見透かされる。
蓮哉はいつも、
あたしの気持ちを読む。
あたしはいつも、
蓮哉にやられる。
だけどそんな小さなことで、
あたしは幸せを感じるんだ。