めぐりあい(仮)






『妃名、やばい』




「どうしたの?」




あれから3日が経って。


もうすぐ夕方の5時を回るころ。


急に蓮哉から電話が入った。





『千秋が見合いする』




「え、見合い…?そんな、急に…」




『今日千秋休んでて。木嶋さんにさっき聞いた』





頭が真っ白になる。


見合いってことは、


つまり家族同士で顔を


合わせることで。


ということは、


話が進んじゃうわけで。


要するに、


最大のピンチなわけで。





「ど、どうしよう」




『とにかく鳴海ちゃんに連絡取って。今、お前ん家向かってるから』




「分かった。連絡してみる」





急いで電話を切り、


すぐに鳴海に電話をかけた。






『もしもし?』




「鳴海、今大丈夫?」




『うん…どうしたの?』





何て言おう。


どう言ったら伝わるの。


何を、どうしたら、


鳴海のためになるの。





「今からあたしの家、来てくれない?」




『家に?うん…いいけど。あ、ちょ…』




『吉川?俺だけど』





鳴海の声が遠くなり、


聞こえてきた朝陽の声。





「朝陽?」




『おう、俺。元気?』




「元気。すごく元気。でも今、朝陽と話してる暇ないの」




『は、お前、何だよそれ』





とにかく着替えなきゃ。


何着たらいいの。


てゆうか、これからどうするの。





「ごめん、朝陽。また連絡する」




『お、おう…』




「鳴海に、急いで絶対家に来てって伝えてね」





あたしは朝陽の返事も聞かずに、


電話を切った。


携帯をベッドの上に放り投げ、


急いで支度を済ませる。


服を着替えて、支度を済ませると、


玄関の外に出て待機した。


意外にも先に着いたのは。





「妃名子~っ」





息を切らして走って来た、


鳴海だった。





「鳴海…」




ここから何て言えばいいんだろう。


千秋さんが…。


それは直球過ぎるか。


やっほー、だなんて、


そんな呑気なこと言ってられないし。


えっとえっと。





「どうしたの?妃名子」





そこにタイミングよく、


蓮哉の車が現れて。





「乗れ!」





運転席からそう声をかける。


あたしは鳴海と一緒に、


後部座席に乗り込んだ。






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