めぐりあい(仮)
「ご飯、どうする?」
何か食べたい物、ある?
と聞かれ、うーんと考える。
これといって思いつかないあたしは。
「お家で何か作ろうよ!」
と、提案した。
「妃名子、料理上手いんだっけ?」
「そうなの。こう見えても、結構頑張れる」
「じゃあ、そうしよう」
なら、スーパーだね、と。
行き先が決まった車は、
家の近くのスーパーに向かった。
「悠太郎、何食べたい?」
「生姜焼き」
「あ、いいね」
こうして2人で買い物をするのは、
いつぶりかな、ってくらい久しぶり。
ゆっくり過ごせるのも、
滅多にない、働きマンだから。
絶対疲れてるのに、
そんな素振りを見せない。
悠太郎は、絶対に弱みを
見せない。
甘えても来ない。
だからいつか、
辛くなっちゃうんじゃないかって。
すっごく、不安。
「じゃ、作るから待っててね」
「いや、俺も手伝うよ」
あたしのために買ってくれた
エプロンを付け、
隣に立つ悠太郎と一緒に
ご飯を作っていく。
男とはいっても、
1人で暮らしてるだけあって、
悠太郎も結構料理が得意だったり。
「ね、今、生姜入れ過ぎなかった?」
「え、そんなことないと思うけど」
「嘘だ。今のは少し多かったよ?」
こんな言い合いも、
あたしは幸せでしかない。
あたしに言われて、
少し膨れる悠太郎は、
すっごくすごく可愛い。