めぐりあい(仮)
「蓮…」
「あーはいはい、怖かったな」
浮き輪取りに行くぞ、と言って、
あたしを抱えながら泳いでくれる。
無事浮き輪を捕まえると、
あたしに被せて一息つく。
「遅くなった」
「どうせ鼻の下伸ばしてたんでしょ?」
お前も見てたのか、と
罰が悪い顔をした。
そんな蓮哉を、
可愛いと思った。
「蓮哉も普通の人だね」
「どういう意味だよ」
「グラマーで、セクシーで、綺麗なお姉さんがいいんでしょ?」
そんな可愛くないことを言うあたしに。
「あーなるほど」
と言った。
蓮哉は浜に向かって泳ぎながら、
お前も嫉妬するんだな、
なんて言ってきた。
「ち、違うもん」
「そっかそっか」
困らせてやろうと思ったのに、
なぜかあたしが困る結果に。
形勢逆転。
してやられた。
「お腹空いた」
「何か食べよっか」
すっかりお昼を忘れていたあたしたち。
はしゃぎすぎて疲れたからか、
すごくお腹が減っていて。
近くにあった海の家で、
ご飯を食べることに。
「あたしかき氷」
冷たい物が食べたい、という
理由でそう言うと。
「腹壊すなよ」
と言われる。
蓮哉と2人で注文しに行き、
鳴海と千秋さんの分も運ぶことに。
「今度はみんなで旅行行きたいです!」
「お、いいね」
「冬に温泉とかいいんじゃない?」
「賛成!」
4人で盛り上がっている時。
蓮哉の携帯に着信が入った。
「お疲れ様です」
そう言って電話に出た蓮哉は、
数回相槌を打った後。
行きます、と言い電話を切った。
「千秋、木嶋さんが家でバーベキューするから来ないかって」
「別にいいけど」
悠太郎の名前に少し反応する。
家を飛び出したあの日以来、
悠太郎からの電話もメールも
無視してるから。
「鳴海ちゃんは大丈夫?」
「少しなら」
「じゃあ、決定」
あたしに聞かれたら、
なんて答えよう。
なんて考えてたのに、
スルーされて。