めぐりあい(仮)





「17と18です」




誕生日が過ぎた鳴海は18歳。


誕生日がまだなあたしは17歳。





「高校生3年生?」




「はい」





てっきり大学生かと思った、と。


奥さんはお茶を入れながら、


驚いた顔をしている。





「焼くのは男性に任せましょ」





女性は一休みね、と。


目の前にお茶を差し出し、


奥さんは笑顔であたしたちを見る。





「初めまして、木嶋 恵莉香です」





改めて言うと恥ずかしいわね。


そう言って笑う恵莉香さんは、


お茶を一口、口に含んだ。





「美緒、これパパに持ってって」





まだ小さい美緒ちゃんは、


嬉しそうにはしゃいで、


締め切られた窓を開け、


広々としたテラスに出て行った。






「お2人はどうやって彼らと知り合ったの?」





「えっと、」





「あ、鳴海さんはまだ彼女候補なんでしたっけ?」





そうです、と愛想笑いで


返す鳴海。





「どうやって知り合ったか忘れちゃったね」





「そ、そだね。いつの間にか知り合いだったよね」





何て答えたらいいか分からず、


2人ともたじたじ。


どうしたらいいか分からず、


テラスの方を見ていると。


偶然悠太郎と目が合って。


すごく悲しそうな顔で、


微笑んでいた。





「妃名!」





それを遮るかのように、


蓮哉があたしの名前を呼んだ。


それを聞いたからか、


恵莉香さんはテラスに行こうと言い、


鳴海と一緒に外に向かうことに。





「肉、食う?」




「うん」





テラスに出ると、


当たり前のように悠太郎の


隣には、恵莉香さんがいて。


幸せそうな恵莉香さんの笑顔が、


憎くて堪らなかった。





「妃名子」




「ん?」




「今日俺ん家、泊まるんだっけ?」




「え?」





みんなの前で堂々と。


そんなことを言うもんだから。





「い、行くよ?」





思わずそう答えてしまった。


それを聞いた恵莉香さんが。





「まあ、ラブラブね」





嬉しそうに微笑んでいた。


そんな恵莉香さんを見て、


無理に笑っているような悠太郎。


それを見て、心を痛めるあたし。





「ビール持ってくるわね」




「あ、手伝います」





蓮哉の分もない、と。


体が勝手に動いた。


リビングに立つあたしと恵莉香さん。


異様な光景。






「3本持ってもらっていいかしら?」




「あ、はい」





再びテラスに戻ろうとした時。


悠太郎の頬にタレがついているのを


美緒ちゃんが見つけ。


恵莉香さんは何か拭くものを、と


部屋の中をうろつく恵莉香さん。


悠太郎のために、必死になる彼女に。






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