おじさまに、ドン!
ちょっと昔ばなしです




両親はあたしが小学4年生の時に相次いで亡くなった。両親はともに孤児だったから天涯孤独になったんだけど、父の親友だったという佐原 寛治(さはら かんじ)さんが事情を知って引き取ってくれた。
とは言え、あくまでも後見人としてで。養子の手続きはしてない。


当時からモノカキをしていた寛治さんは結構な収入があるらしく、高級マンションを買って気ままなおひとりさま生活を満喫してたけど、何の気まぐれか親友の子どもを拾って育てる事にしたらしい。


とは言え、いろんな美人さんが入れ替わり立ち替わりマンションにやって来てたのは、ひとえに寛治さんの私生活がだらしなかったから。

ことに、幼い子ども(まだ小学生じゃね)がいれば、更に同情を引きやすかったらしく、あたしにまであれこれ世話をしてくれる。


そこに寛治さんに気に入られようとする打算もあったにせよ、世話をしてもらえてありがたかったし、ある程度女の子としての体裁を整えてくれて嬉しかった。


それでも寛治さんは特定の女性と仲を深めたり結婚することもなく、今まで育ててくれた。その事は感謝してる。

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