私のことは、ほっといてください
「んー。なんでって」
翌日、会議後の廊下にて。私は思い切って新見君に昨夜の疑問をぶつけてみた。
新見君は、手にしていた書類をメガフォンみたいに丸めると、私の耳に当てた。
「ここだけの話。オレも読んでんだよね、アレ」
鼓膜を震わす彼のウィスパーボイスがくすぐったい。けど、それ以上にその言葉の内容に驚いた。
「うそっ……? 新見くんて、少女漫画読むの?」
「あー。今、バカにしたろ? 男が読んじゃ悪いかよ」
「ううん、ううん」
ブンブン首をふる。自分でも興奮しているのがわかる。一歩近づいて、彼の瞳を見つめた。
「うれしい! こんな近くに『ラブきゅん』読んでる人がいるなんて! だって、あれティーン誌でしょ? 友達にも読んでる子いなくて、どんなに感動しても語り合えなくて寂しかったんだぁ……」
「そうなんだ。じゃさ、今度じっくり『ラブきゅん』談義しようよ」
「ほんと? するする!」
思わずぴょんぴよん飛び跳ねる私を見て、新見君がクスッと笑う。
「すっげ嬉しそう。そんなに好き?」
「うん!」
「そっか。けど、ふたりだけの秘密にしない?」
「えっ?」
「やっぱオレ男だし。バレるとちょっと恥ずかしいな~みたいなのもあるし」
新見くんは、はにかむように言った。
翌日、会議後の廊下にて。私は思い切って新見君に昨夜の疑問をぶつけてみた。
新見君は、手にしていた書類をメガフォンみたいに丸めると、私の耳に当てた。
「ここだけの話。オレも読んでんだよね、アレ」
鼓膜を震わす彼のウィスパーボイスがくすぐったい。けど、それ以上にその言葉の内容に驚いた。
「うそっ……? 新見くんて、少女漫画読むの?」
「あー。今、バカにしたろ? 男が読んじゃ悪いかよ」
「ううん、ううん」
ブンブン首をふる。自分でも興奮しているのがわかる。一歩近づいて、彼の瞳を見つめた。
「うれしい! こんな近くに『ラブきゅん』読んでる人がいるなんて! だって、あれティーン誌でしょ? 友達にも読んでる子いなくて、どんなに感動しても語り合えなくて寂しかったんだぁ……」
「そうなんだ。じゃさ、今度じっくり『ラブきゅん』談義しようよ」
「ほんと? するする!」
思わずぴょんぴよん飛び跳ねる私を見て、新見君がクスッと笑う。
「すっげ嬉しそう。そんなに好き?」
「うん!」
「そっか。けど、ふたりだけの秘密にしない?」
「えっ?」
「やっぱオレ男だし。バレるとちょっと恥ずかしいな~みたいなのもあるし」
新見くんは、はにかむように言った。