私のことは、ほっといてください
「さて……と、もう戻るか」

新見君が立ち上がって歩きだす。その後ろを私もついていく。

「冬になったらさ。もう、ここ来るの、やめようか」

「……え?」

彼の言葉に戸惑い、足を止めてしまった。

私……落ち込んでる?
ダメダメ。気づかれないようにしなきゃ。

「そ、そうだね。さすがに寒いしね。もうやめた方がいいよ」

うんうんと数回うなずいて、また歩き出した。

「いや。そうじゃなくて。あのさ」

「えっ、きゃ」

突然新見くんに腕を捕まれたかと思ったら、側にあった大きな木に背中を押し付けられた。

至近距離でじっと見つめられて、動けなくなる。

「新見……くん?」

徐々に近づく彼の指先。それに伴い、私の心拍数は上がる。

やがてその指は私の前髪にそっと触れた。

「葉っぱ、ついてた」

新見くんは指でつまんだ枯葉をヒラヒラとさせる。

……なんだ。髪についた枯葉を取ってくれただけか。

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