私のことは、ほっといてください
「壁ドンとか、髪についた葉っぱを取るとかってさ、少女漫画の定番シーンじゃん? ちょっとはドキドキした?」

冗談めかして言う彼の言葉に、私はなぜか泣きそうになって、口をキュっと結ぶ。

それからゆっくりと口を開いた。

「なんか……虚しい気持ちになっちゃった……」

「虚しいって。そんなにヤだった? オレに触られんの」

「ちがっ……」

そうじゃない。言いたいことは色々ある気がしたけれど、新見君はもう私に背を向けて歩き出したので、言葉を飲み込んでしまった。


トボトボと彼の後をついていく。

虚しくなったのは、自分の気持ちに気づいてしまったから。

私は、新見君のことが好きだ。こんな恋心、叶うはずもないのに……。

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