いん・ざ・ぼっくす
.。.:*・゜+.。..
「ちょッ、狭いってばっ」

「シッ! 静かに!」

3つ年下の後輩、垣内信吾(かきうちしんご)は、私の下で「ちょっとだけ我慢してください」と、小声で言った。その距離といったら、息がかかりそうなぐらいに近い。

寝転がり、膝を立てた状態の彼。
私はその上にいて、せめて上半身だけはくっつくまいと、両手をついて、なんとかふんばってる。
傍から見ると、まるで私が彼を押し倒したように見えるかもしれないが、事はもっと複雑だ。

身動きが取れない狭い空間。
暗闇の中、彼の息遣いだけがやけになまめかしく感じられた。

なぜこんな状況になってしまったか。話は数分前にさかのぼるわけで――。

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