いん・ざ・ぼっくす
「告白? いきなり何言って」

「あー。返事はいいっす。わかってます。オレのこと、部下としか思ってないって」

「垣内……」

「けどオレ、頑張るんで。あと、結構しつこい方なんで覚悟しといてください」

屈託のない笑顔を向けられ、心拍数が上昇する。
不覚にも胸がキュンとときめいてしまったじゃないか。くそぉ……垣内ごときに。こんな簡単に落ちてたまるものか。

焦った私は早口で言う。

「後で企画書作って持ってきて。じゃ、これで打ち合わせは終わり!」

今度こそ立ち上がろうとしたのに、また垣内に肩を持たれ、その場に留められた。

「まだです。もう少し時間ください」

「もう、なんなの? 私、忙しいの。言ったでしょ、この後、大事な会議が……」

「手、出して」

「へ? 手?」

わけがわかんない。
だけど、とりあえず従うことにした。
おずおずと右の手のひらを上に向けて、彼に差し出す。

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