夏に散った花
『あんなの気にしなくていいんだよ?』

電車の中でずっと樹里はそういっていた。

“私のもの”かぁ...。

秋夜と付き合っていたとき、自信をもって私のものって言えてただろうか?
多分、いや、絶対言えてない。

楽しいだけで満足して、秋夜の気持ちを無視してたのかも。

そう思うと、また涙が出てくる。

「あぁ!もう!泣かない!笑顔笑顔!」

指で頬をあげ無理矢理笑顔を作る。

ピロリン♪ ピロリン♪

め、メール?
急なメールでビックリしたぁ。
誰だろう?

「秋夜...?」

何で?
別れて、話すことなんてないはずでしょ?
驚きつつもメールを開いてみる。

『会える?』

たった四文字。
秋夜らしいメール。

『今?』
『うん』
『いいよ』
『噴水んとこ』

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