やっぱり好きだから、片想い。【BL/mw】
「ハルキんちが良いって言ったのはお前だろ?」
「そぉだよ。ルウね、退廃的なものが好きなの。それでね──」
背後から聞こえてくる会話を何となく聞き流しながら、ハルキは鍋の具材を物色し始める。
「ヒサギちゃんは何鍋がいい?」
「キムチ以外。バカみたいな辛党がとんでもないことして喰えなくなるのはごめんだ」
「あぁ……なんか聞いた事あるかも。じゃあ豆乳鍋にしようか」
「ルウ、豆乳やだ!」
「トマト鍋にしようぜ」
「鍋って言ったら白菜だろ。おいハルキ、キャベツなんか買うなよ。甘ったるいのは嫌いだ。阻止しろ」
好き勝手に喋り出す3人の意見をまとめるのは無理だと感じたハルキは、ふう、と一息ついて大根に手を伸ばした。
「今夜は俺オリジナルのもつ鍋にします」
大根、人参、ネギ、ニラ……と独断で野菜を決めていくハルキに、幼馴染み3人組は口々に文句を言い始めた。
「ネギ嫌ぁい!」
「ルウ、殆どの鍋にネギは入るんだから諦めろ。つーかあいつは鍋奉行だったのか!?」
「なんだサユコは知らないのか? あいつは肉に魂を売り飛ばした肉魔人だ」
「肉欲魔人なのね」
最後のルウの一言に、他3人が固まったのは言うまでもない。