やっぱり好きだから、片想い。【BL/mw】
一悶着ありながらも買い物を済ませ、ハルキの住む『すみれ荘』に着くと、ルウが早速室内を物色し始めた。
木造築50年だというその建物は、築年数の割に新しさを感じさせられるものではあるが、デザインやレイアウトが昭和初期のようなレトロ感を漂わせている。
今夜の鍋奉行が決まっているからか、幼馴染み3人組は手伝う気など更々無く、サユコはルウと一緒に部屋の中を見て回り、時々この部屋に来る事があるヒサギは勝手にテレビをつけて見始めていた。
「ねぇハルくん。今度撮影させてよ」
ルウの職業はデザイナー。
ゴシックロリータ等を扱う独自のブランドを立ち上げて日々作品作りに没頭しているとか。
「大家さんに確認してからね」
「ほんとに!?」
「ハルキ、ルウを甘やかすとロクなことないぞ」
サユコの忠告の意味が分からないハルキは、小さな台所に立ったまま手際良くもつ鍋を準備していく。
「ハルくん、押入れ開けていい?」
「い、良いけど……そんなとこ見てどうするの?」
「おいルウ、うっかりエロ本とか見つけても騒ぐなよ。見て見ぬ振りしてやれよ」
「ヒサギちゃん! 俺の部屋にそんなものはありません!」
「俺はお前の部屋でいかがわしいDVDを見つけた事があるが」
「ちょ……っ、何で今そんな事を……っ」
「ハルくんのえっち〜」
「アレだな、肉欲魔人なんだよな?」
畳み掛けるようなサユコの言葉に、ハルキは涙目だ。