業務報告はキスのあとで

 ああ、本当に今日はついてない。私は、普通に、周りと同じように働きたかっただけなのに、どうしてこんなことになるの。

 だんだんと怒りのような感情すらも湧き上がってくる。そんな私の前で突然平岡さんがクスクスと笑い出した。


「ははは」

「何笑ってるんですか」


 笑えるようなことは何も言っていないし、寧ろ怒るとこなのでは……?


今日入ったばかりの新入社員に、軽いだの嫌いだの好き勝手言われて笑えるなんて……この人、どうかしている。

寛大な心の持ち主と思うべきなのか、それとも、ただの頭がおかしい人と認識すべきなのか。


「言うねー、小松さん」


そう言ってまた再び口角を上げて笑う平岡さん。その笑顔を見た私は何だか少し、嫌な予感がした。


「面白い、気に入った」

「……え?」

「いいね、小松さん」

「は、い?」


平岡さんの口から次々と飛び出してくる理解不能な言葉達。

私はそれを1ミリも理解できないままで、ただ口をポカンと開けていた。

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